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子どもに教えたくなる お雛様と地図のおもしろ豆知識

[雑学・豆知識]  2014年3月3日

まだ寒い日が続きますが、花屋さんの店頭には桃の花もならび少しずつ春が近づいている気配を感じます。さて今回はそんな桃の節句、ひな祭りのお雛様について地図を見ながらお話したいと思います。


Photo: Japanese Doll Festival, Girls' Day: Hinamatsuri, Kyoto by Conveyor belt sushi


お雛様の右・左にまつわるおはなし

お雛様の話に入る前にまずはこちらをご覧ください。

京都市の地図です。よく見ると左側に「右京区」があり右側に「左京区」があります。右と左が逆ですね。京都の方には常識かもしれませんが、皆さんなぜだかわかりますか?

古くから「天子南面す」と言われるように、天皇は南を向いて君臨します。京都は昔、天皇のお住まいがあった場所です。「右京」「左京」は、天皇から見て右側の京、左側の京ということになります。

この地図の「右」と「左」を少し覚えておいて下さいね。
ではお雛様の話に移りましょう。

男雛と女雛は左右どちらに置くのが正しいの?
特にどちらが正しいという決まりはありませんが、地域によって特徴があるようです。 一般的には下の写真のように向かって左側が男雛、右側が女雛の並びが主流ですが、京都を中心とした関西地方では逆の並びが多いようです。



先ほど「天子南面す」という話をしましたが、さらに東西では「日出処の天子」という言葉にもあるように、太陽が昇る東が上位であるという考えがありました。男雛と女雛は天皇皇后を模したものと言われており、宮中での天皇の並びに準じ東側(向かって右側)が男雛となったのです。

ところが近代の西洋化により、諸外国の「向かって左が男性、右が女性」の慣習が日本に入ってきました。天皇皇后の並びも昭和天皇の即位礼よりこれにならい、のちのお雛様の並びも左が男雛、右が女雛が主流になりました。現代の結婚式の新郎新婦もこれと同じ並びですね。古来の伝統を残した京都や関西では昔ながらの並べ方の習慣が残っているそうです。

現代の住宅事情ではなかなか南向きにお雛様を飾ることもむずかしいと思いますが、飾る向きや左右の並びにこだわらず、各家庭の事情やお好みで飾ればいいのではないでしょうか。

「赤いお顔」本当は左大臣!?
お雛様にはちょっといかついお顔をした右大臣、左大臣がいますね。先に述べたように、古来の考えでは東(向かって右)側が上位でした。つまり左大臣のが偉い人ということになります。実際に左大臣はひげを生やした年長者、右大臣は若者のお顔です。



ところで「あ~かいおかおの右大臣~♪」という歌がありますが、これ、本当は左大臣が正しいのです。この「うれしいひなまつり」を作詞したサトウハチロー氏が間違いであったと気にしていたそうです。
参考サイト

右近の橘と左近の桜は実物があった!
さてもう一つ、お雛様の右と左のお話。


お雛様に飾られる一対の樹。向かって左が白い花に黄色い実をつけた橘(たちばな)で、右がピンク色の桜です(桃じゃないですよ!)。これは「右近の橘」「左近の桜」と言います。実はこの橘と桜、京都御所に実物があるんです。

まずは航空写真で見てみましょう。


中央の大きな屋根の建物は紫宸殿(ししんでん)といい、京都御所でも最も格式の高い正殿です。紫宸殿の正面に並ぶ一対の樹、左側が右近の橘、右側が左近の桜です。左右が逆なのは、最初にお話したように、天皇の視点からみた右側と左側だからです。

さてこの橘と桜、実物は雛飾りによく見られる木製の「囲い」もちゃんとあります。(上の写真は我が家のお雛様にあったもので、丸型の囲いになっていますが、一般的には一枚目の写真のように四角い囲いが多いです。)



紫宸殿を再現した豪華な雛飾りもあるようですが、男雛女雛の並びから木の囲いまで、お雛様って本当に昔の宮中を忠実に再現した、女の子にとっては憧れのお人形だったんですね。

地図で見るお雛様の産地

では次に、お雛様の主な産地を地図で見てみましょう。

埼玉県さいたま市岩槻区
日本でも有数の雛人形の産地。岩槻駅東口には人形店や人形製造業者が多数あります。


埼玉県鴻巣市人形
こちらも埼玉県から。町名がズバリ「人形」。県道沿いには多くのひな人形店が並び、市役所では鴻巣びっくりひな祭り(外部リンク)も開催。


東京都台東区 浅草橋
全国区の大型人形店も並ぶ人形問屋街。TVCMなどで有名なお店の名前もあります。


お雛様や五月人形など、日本の伝統的な節句人形の産地は埼玉県が有名ですが、たくさんのパーツからなる雛飾りは、それぞれ全国各地の産地で作られています。例えば、
  • 頭(かしら)は埼玉県 (前述のとおり埼玉は日本一の人形の産地)
  • 着物は京都 (西陣織が有名な京都は人形衣装の産地でもある)
  • 道具は静岡 (木工や漆工芸の盛んな静岡は駿河雛具として知られる)
  • 雪洞(ぼんぼり)は岐阜 (灯具としては岐阜提灯が有名)

他にも雛飾りの多数のパーツが全国で作られ、これらが集まって最終的に人形店などで販売されるお雛様になります。こうして見ると、お雛様って日本の伝統工芸の集大成とも言えるかもしれませんね。

地図で見るお雛様のお話、いかがでしたか?
少し堅苦しい話もしてしまいましたが、お子さんが少し大きくなられたら、こんな話もしながら、お子さんと一緒にお雛様を飾ったり遊んだりして頂ければ嬉しいです。

みなさん楽しいひな祭りをお過ごしくださいね。
(文:伊藤)

この記事は2013年2月22日にYOLPブログに掲載されたものを、一部加筆修正して再掲しました。


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