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地形を感じる!「坂折棚田」で田植え体験

[雑学・豆知識]  2013年7月5日

今日は岐阜県にある「坂折棚田」のお話をしたいと思います。

「坂折棚田」は、岐阜県恵那市の北部、中野方町に位置する、標高410~610m付近の東向き斜面に作られた棚田です。
平成11年7月には、農林水産省の『日本の棚田百選』に認定されました。


棚田の段々のひとつひとつが、等高線に見えてきます。
地形図の大好きな私にとって、とてもテンションが上がる風景です!

坂折棚田の地形を見てみよう

おっと、地形図って言っちゃいましたね。
せっかくなので、航空写真と地形図を並べてみましょう。

Yahoo!地図で見る「坂折棚田」(クリックすると地図にジャンプします)


これだけでご飯3杯はいけますね。棚田だけに(笑)

国土地理院の地形図で同じ場所を見ると、 狭い等高線の合間を縫うように水田マーク(||)が広がっていることが確認できます。


現地の看板を見ると「坂折棚田」の傾斜は1/4~1/7。つまり、横に4~7メートル移動すると1メートル下がることになります。計算すると8~14度の斜面、といったところでしょうか。
スキー場の初級者用ゲレンデ程度の角度だと言えば分かりやすいかもしれませんね。
その斜面に土を蓄え、水を蓄え、稲を育むのですから、棚田ってすごいと思いませんか?

「黒鍬」たちが造った、美しい石組み

ここ、坂折棚田の起源は今から400年ほど前、江戸時代初期にさかのぼると言われています。
石積みのあぜが特徴で、「黒鍬(くろくわ)」と呼ばれる石工集団によって築かれたそうです。



写真手前の石積みは、私の背丈を軽く超えて、2m以上はあるようでしたよ。
この斜面でどうやって組んだのかしら。先人たちの技術や知恵には頭が下がります。
(ちなみに、名古屋城の石組みを組んだのも黒鍬だと言われているそうですよ。スキルの高い職能集団だったのでしょうね!)

課題もあるけれど、ずっと残したい原風景

棚田は、がけ崩れの防止や水をためるダムの役割など、環境の保全にとても役立っています。
それに、見ているだけでも心が洗われるようなすばらしい景色ですよね。
でも、高齢化・後継者不足による耕作放棄地の増加などにくわえ、地形的にも不利な棚田は多くの問題を抱えています。

この魅力的な環境を残すべく、日本各地で地域振興やグリーンツーリズムの流れが盛んにおこなわれるようになり、都市生活者でも棚田に触れ合える機会が増えてきました。
ここ坂折棚田でも、平成18年から始まった「棚田オーナー制度」が今年で8期目を迎えています。


この素晴らしい環境を、末永く残して行きたいものですね!

来訪者の憩いの場、「さかおりお茶番処なごみの家」 手打ちそばがオススメです!

田植えを体験してみました

坂折棚田では、「ミネアサヒ」という品種を栽培しています。
小粒ながらも、ツヤがありネッチリとした食感で、甘みがあり、冷めても美味しいお米です。

田植えのやり方は、地元の方が丁寧に教えてくださいます。
泥の感触を感じながら、ひとつひとつ手植えで苗を植えていきます。


江戸時代から続く棚田の稲づくり、先人たちが多くの時間を費やした手仕事に思いを馳せて…
なかなかの重労働。オフィスワークに慣れきった体には堪えます。
苗の束から適量をとり、前後の間隔を適度にあけ、ちょうどいい深さに植え込む。
田植えは追求すればするほど、なかなか奥深いものです。

割り当てられた1区画は約100平方メートル、午前中もくもくと作業をして、2~3時間で田植えが終了。
達成感でいっぱいです!
植えられたばかりの苗はいかにも頼りなげですが、これからの季節、太陽の日差しと雨の恵みを受けて驚くほど強くスクスクと伸びていきます。秋の豊作を祈願!



斜面を体感 “車に戻るまでが田植えです”

心地良い疲れが身をつつみ、さぁ帰るとしますか。
しかし、もうひと頑張りせねばなりませんよ。

乗ってきた車は…あの上だ!

……ひゃーーー、高い~~~!

この最後の登りをクリアしたら、私はほぼ間違いなく筋肉痛になります。
棚田の急斜面を、文字通り体感できる瞬間です。

自然や地元の方々の温かさに触れ、地形を体感し、先人たちの努力に感じいる。
お天気にも恵まれ、また今年も有意義な田植えの一日となりました。

(文:スギオカ@坂折棚田オーナー4年生)

オマケ
左党のアナタに朗報!
米と言えば忘れてはならない命の水、「坂折棚田」のお米を使った地酒もいけますよ。
さかおりお茶番処「なごみの家」では、ミネアサヒで造った「くろくわ」というお酒が買えます(写真左)。銘はあの職能集団からいただいたのですね。
ご近所、岐阜県土岐市の千古乃岩(ちごのいわ)酒造さんでも、棚田米仕込みのお酒を作ってらっしゃいます(写真右)。
今宵一献、いかがですか?